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年末年始は、自ずとTVの歌謡番組を見る機会が多かった。NHKの紅白は風呂に入ったりそばを食ったりしながらも、けっきょく通しで見てしまったが、正直なところ若い歌手の歌には共感するところがなかった。裏番組で録画しておいた新宿コマの最終公演の方が、往年の美人歌手の老いたる姿を見るのは忍びなかったが、それでも随分と楽しめた。
歌謡曲は大衆芸能だから、庶民生活がそのまま歌と重なり、その分、客も多ければ喝采も大きい訳で、一定の教養を持たないと楽しめないクラシックとは違うのだが、観客の心を動かすためには尋常ではない気合いが必要だという点では共通していると思う。下積み生活の中から這い上がってきた歌手の気合いは、テレビの画面からでも十分伝わる。
さて、ぼくには長い間、探偵ナイトスクープにでも頼みたいような、気になる3つの歌謡曲があった。いずれも大ヒットはしなかった曲で、それゆえ今、どこでその曲が聴けるのか分からないが、どうしても聴いてみたい曲であった。しかし、ネットの威力は大したもので、検索すると比較的容易に答が見つかり、つい1年ほど前に3曲ともCDを手に入れた。その3つの「思い出の小曲」を紹介しよう。
(1)島倉千代子「十国峠の白い花」。昭和30年代後半。発売当時はベストテン入りするくらいヒットしたのだが、不思議なことにその後、レコード店の島倉千代子のCDを探しても収録されていない。ネットでようやくぼくにとっては貴重なCDを入手(写真1)。
(2)ちあきなおみ「黄昏のビギン」。たまにメロディーが頭をよぎるが、誰が歌った何という曲か分からない。勝手に、「黄昏の街」という題名の古い歌だと思いこんでいた。しかしじっさいはネスカフェがテレビ・コマーシャル用に作った曲だった(写真2)。
(3)ザ・ピーナッツ「手編みの靴下」。この曲は、昭和40年前後、TVの「シャボン玉ホリデー」で一度だけ聴いた。初めて聴いたがどうしても頭を離れず、ぼくの記憶力にしては珍しく、ずっと頭の中で鳴っていた。ところが何年か後に園まりの「逢いたくて逢いたくて」という曲がヒットして吃驚した。歌詞はまったく違うがメロディーはまったく同じではないか。どういう経緯でピーナッツから園まりに移ったのか知らないが、ぼくの気持ちの中ではピーナッツの「手編みの靴下」はどうなったのだ?という疑問符が渦巻いた。最近、ピーナッツ全集を手に入れた。そうするとちゃんと「手編みの靴下」が入っていた(写真3)。しかしたしかに「手編みの靴下」ではヒットしにくいよなぁ。歌詞を変えた園まりの勝ちである。
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